フラワーアートの世界一見シンプルな組み合わせの中にも、心を奪われるようなきらめきを生み出すものがあります。例えば、風花、草、葉の組み合わせはその一例です。バラのような鮮やかさやアジサイのような豊かさはありませんが、風花の灵動、草の野性的な魅力、そして葉の広がりが、風、光、そして自然の詩情を一つの花束に織り込んでいます。風に揺れる風花の微かな動きを見ると、自然の中に秘められた優しい感情が、フラワーアートという形でひっそりと私たちの生活に入り込んでくるのです。
メインの花材であるユリは、軽やかで幻想的な魅力を放ちます。苔や葉が加わることで、その生き生きとした重層性がさらに豊かになっています。ユリは中央に広がり、その周囲を草が囲んでいます。それぞれが個性的なフォルムでありながら、雑然とした印象を与えません。まるで、もともと同じ草原に生えていたユリが、優しく集められ、ブーケへと生まれ変わったかのようです。
草や葉の束と組み合わされた風車蘭の詩的な美しさは、様々なシーンに適応し、生活の隅々に静かに自然の感覚を吹き込む能力にあります。玄関のキャビネットに置けば、来客を迎える最初の挨拶となります。寝室の窓辺にガラスの花瓶に入れて置き、朝、カーテンを開けると、風車蘭の花びらを通して太陽の光が差し込み、壁に光と影を散らし、まるで一握りの星が動いているかのようです。
風車蘭と草や葉の束を組み合わせることで、自然との関わり方が広がります。生命力に満ちた想いは、やがてこの花束のように育まれていくでしょう。

投稿日時: 2025年7月25日